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大阪地方裁判所 昭和45年(わ)733号 判決 1970年7月28日

一、所在地

大阪市東住吉区加美諏訪山町三丁目二八番地

名称

光広物産株式会社

代表者

米田正

二、本籍

大阪市阿倍野区王子町三丁目一三番地の二

住居

東京都世田谷区玉川奥沢町三丁目二〇番五号

職業

会社役員

氏名

米田正

生年月日

大正三年八月二九日

右両名に対する法人税法違反被告事件について、検察官宇都宮龍一出席の上審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人光広物産株式会社を罰金一五〇〇万円に、被告人米田正を懲役六月に処する。

被告人米田正に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告人光広物産株式会社は、大阪市生野区今林町四三二番地に本店を置き、化粧品の金属容器等の製造販売業を営むものであり、被告人米田正は、右被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人米田正は、右被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、右被告人会社専務取締役竹沢敏夫と共謀の上

第一、被告人光広物産株式会社の昭和四一年二月一日から昭和四二年一月三一日までの事業年度において、その所得金額が一一七、九六二、四一五円、これに対する法人税額が四〇、三八七、一〇〇円であるのに、公表経理上材料費等の架空仕入を計上し、仕入代金を支払うように装つて得た資金を貸付信託等にして簿外にする等の不正行為により、右所得金額中八八、〇五八、三八一円を秘匿した上、昭和四二年三月三〇日大阪市生野区生野税務署において、同署長に対し右事業年度の所得金額が二九、九〇四、〇三四円、これに対する法人税額が九、五七六、一〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税三〇、八一一、〇〇〇円を免れ、

第二、被告人光広物産株式会社の昭和四二年二月一日から昭和四三年一月三一日までの事業年度において、その所得金額が一〇二、七六四、五五九円、これに対する法人税額が三四、八五四、〇〇〇円であるのに、前判示同様の不正行為により、右所得金額中六三、〇八一、七九七円を秘匿した上、昭和四三年三月二九日前記生野税務署において、同署長に対し、右事業年度分の所得金額が三九、六八二、七六二円、これに対する法人税額が一二、七八四、三〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税二二、〇六九、七〇〇円を免れ、

第三、被告人光広物産株式会社の昭和四三年二月一日から昭和四四年一月三一日までの事業年度において、その所得金額が一二一、八九二、三六一円、これに対する法人税額が四一、一〇三、四〇〇円であるのに、前判示同様の不正行為により、右所得金額中七〇、五八四、五五六円を秘匿した上、昭和四四年三月二九日前記生野税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が五一、三〇七、八〇五円、これに対する法人税額が一六、四〇八、五〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて同年度分の法人税二四、六九四、九〇〇円を免れたものである。

(証拠)

判示全事実につき

一、被告人米田正の当公判廷における供述および検察官に対する供述調書

一、同被告人作成の同被告人に対する各供述調書

一、収税官吏作成の同被告人に対する質問てん末書

一、竹沢敏夫、控井幸二の検察官に対する各供述調書

一、竹沢敏夫作成の上申書

一、収税官吏作成の小山春雄、尾上武久に対する各質問てん末書

一、小山春雄作成の確認書二通

一、収税官吏森田琢磨作成の調査書一四通

一、被告人光広物産株式会社作成の証明書(定款について)

一、次の者ら作成の各調査嘱託事項に対する回答文書

三和銀行尾山台支店(昭和四四年一一月八日付)

住友銀行田園調布支店 中央信託銀行銀座支店

住友信託銀行渋谷支店(二通)

三菱信託銀行銀座支店 三菱信託銀行自由が丘支店

三菱信託銀行日本橋支店 東洋信託銀行自由が丘支店

安田信託銀行渋谷支店 安田信託銀行自由が丘支店

一、領置してある三和製袋工業所売上帳四綴(昭和四五年押第三六九号の四)、同仕入帳三綴(同号の五)、同銀行帳四冊(同号の六)、控井商事銀行帳四冊(同号の七)同売上帳四綴(同号の八)、同仕入帳四綴(同号の九)

判示第一の事実につき

一、生野税務署長作成の証明書(昭和四一年二月一日から昭和四二年一月三一日までの事業年度分法人税申告書につき)

一、尾上武久作成の上申書

一、三井銀行自由が丘支店作成の調査嘱託事項に対する回答文書

一、領置してある光広物産株式会社仕入帳二綴(前同押号の一)

判示第二の事実につき

一、生野税務署長作成の証明書(昭和四二年二月一日から昭和四三年一月三一日までの事業年度分法人税申告書につき)

一、尾上武久作成の上申書

一、三和銀行尾山台支店作成の調査嘱託事項に対する昭和四四年一二月三日付回答文書

一、三菱信託銀行難波支店作成の調査嘱託事項に対する回答文書

一、領置してある光広物産株式会社仕入帳二綴(前同押号の二)

判示第三の事実につき

一、生野税務署長作成の証明書(昭和四三年二月一日から昭和四四年一月三一日までの事業年度分法人税申告書につき)

一、三和銀行尾山台支店作成の調査嘱託事項に対する昭和四四年一二月三日付回答文書

一、三菱信託銀行難波支店作成の調査嘱託事項に対する回答文書

一、領置してある光広物産株式会社仕入帳二綴(前同押号の三)

(法令の適用)

被告人光広物産株式会社の判示各行為はそれぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するが、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で同被告人を罰金一五〇〇万円に処し、被告人米田正の判示各行為はそれぞれ刑法六〇条、法人税法一五九条一項に該当するので、各罪につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので同法四七条本文、一〇条により犯情最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 梶田英雄)

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